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Deep Affection 3

彼の部屋のベッドの上で雑誌を読みながら、外が暗くなってきたからそろそろ帰ろうかなと思った矢先。急に部屋の電気が消えた。「うわ。停電かな」暗い中、声だけが聞こえる。彼が消したのかと思ったけどそうじゃないみたい。真っ暗な感じは眠る時のようではあるけれど、唐突に彼の姿が消えたことに不安になった私は思わず呼びかけた。「ねぇ…?」「何?」「どこにいるの?」「ドアの所」「ドア…?」「ちょっと下行ってお母さん見てくる」「ま、まって、私も…」「お前は来なくていいよ」「嫌、なら、ここにいて…」「…わかったよ」ベッドが軋む音と一緒に隣に人の気を感じる。すぐにぎゅっと抱き寄せられるから私もすぐに抱きつく。「怖い…」「すぐ明るくなるって」「離さないで、どこにも行かないで」「うん。行かないから」そのちょっと後に階段を上がる足音がしてドアがノックされると彼は「何?」と私を抱いたまま答えた。「ちょっと、あんた達大丈夫なの?」彼のお母さんだ。「平気」「あら、そう。電気つくまでじっとしてなさいよ」「わかってるよ」短い会話の後、足音が遠のいて行った。それで何かが変わるわけもなくて、私はもっと身体を寄せる。「\xA4

佑А△ť蠅ぁ△覆砲\xAB話して」「何かって…」「なんでもいい。なんでもいいの…」「……じゃあー…、小学生の時のさ、覚えてるかな」そう言うと私たちが小学生の頃の話をしてくれたから、最初は耳を傾けていた。だけど、だんだん届かなくなったのは彼の心臓の音があまりにも心地よかったから。それを聞くのに夢中になってしまっていた。彼も緊張してるのか、いつもより早い気がする。でも規則正しく打つ音と身体の温かさは怯える私を安心させた。「ねえ」「ん…」「ねえってば」リラックスしすぎて寝かけていた時、背中をトントン叩かれたことではっとする。「なに…?」「電気。ついたよ」「あ…、ほんと?」無意識に離れようとした時ぐっと抱きしめられた。「わっ」「いいよ、離れなくて」「なんで?」「このまま聞いてて」「あ…、うん」「それとももう聞き飽きた?」「ううん」「じゃあね、その時、何て言ったか覚えてる?」「えっ…、うーん…」「俺のお嫁さんになりたいって言ったの」「えー?言ってないよ、そんなこと…」「言いましたー」「よく覚えてるね」「もう結婚できる年だよ」「私はね」「あっ俺がまだか」笑いながら私の頭を撫でて「俺のお嫁さんに

なってくれたらなぁ…」って優しい声で呟くから同じ声の大きさに合わせた。「なれるかな」「なれるよ。お前の親だってどこの誰か知らないのにやるより知ってる奴の方がいいだろ?」「あっ…お母さん、大丈夫かな?」「二階まで来たんだから大丈夫だって、でも…」「でも?」「こうしてるの見られたら、恥ずかしいね」耳打ちでこんなこと言うから、思わず私も笑った。彼のこういうところが愛らしいなって思う。大人でも子供でもない私と同じ感覚であることがうれしい。こんな彼とまだ一緒にいたい。もっとこうしていたい。…ついわがままが口に出た。「そうだね…、帰りたくないな…」「泊まってきなよ」「えっ?」「明日土曜だし」「でも…」「俺も帰って欲しくない。また停電するかもだし」「それはやだな」「でしょ?お母さんにご飯作ってって言ってくるよ。待ってて」彼は私の頭に手を置いた後、言葉を待たずに今はもう明るい部屋から出て行った。小さく手を振る私。それから、ため息をついた。「いいのかな…」

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